この記事の読み方7のポイント
左上の河川から中央の浄水場、右上の配水池へ進み、下の枝分かれした配水管から二つの建物へ届く役割図 拡大して見る ↗
図 01水源から使用場所までの役割図。番号1〜5は仕事の順番。槽の数・配置・地形・距離・実管網は再現しません。青と緑は流れを区別する記号で、水質や処理の数値を示す色ではありません。
  1. 水源・取水:原水を取り入れる
  2. 浄水場:原水に合わせて処理する
  3. 配水池:処理後の水を蓄え量を調整
  4. 配水管:地域の各場所へ分かれる道
  5. 建物の給水:使用場所へ水を渡す
働く順番をたどる

水源から蛇口まで、仕事を受け渡す。

取水・浄水・貯留・配水・給水

設備の名前を、役割の受け渡しとして追います。施設の配置や処理方式は地域で異なり、記号は実管網を再現しません。

01取水原水を取り入れる
02浄水処理と消毒
03配水池量の変化を調整
04配水圧力と管路
05給水器具まで渡す
  1. 01

    水を取り入れる

    地域の水源から原水を取り入れ、処理へ送ります。

  2. 02

    水質を整える

    濁りを分ける処理や消毒を、原水と設備に合わせて行います。

  3. 03

    配る量を調整する

    配水池などの貯留設備が、使われる量の変化を受け止めます。

  4. 04

    圧力と管路で届ける

    高低差やポンプの働きと、配水・給水の道が供給を支えます。

  5. 05

    建物から器具へ渡す

    直圧・増圧・受水槽などの方式を経て、蛇口や器具へ届きます。

役割模型。実施設の槽数・管路・処理濃度・圧力・施工条件は示しません。浄水方式と建物の給水方式を分けて読みます。

水道は「きれいにする」と「届ける」をつなぐ

蛇口を開けば水が出る。その短い動作の前に、水源から水を取り入れ、水道水に処理し、必要な量と圧力で配る仕事があります。水道のしくみは、水質を整える工程と、水を運ぶ工程を分けて追うと理解できます。

図1は、水源・浄水場・配水池・道路の配水管・建物をつないだ役割図です。特定の町の地図ではなく、水がどんな仕事を経て手元へ届くかを示しています。実際には施設が離れていたり、複数の浄水場から供給されたり、配水池とポンプ場を組み合わせたりします。

水源も地域で異なります。横浜市の案内には、河川からの取水や、湖に蓄えた水を下流で取り入れる系統が示されています。「家の近くの川からそのまま来る」「すべてダムから来る」とは決められません。出典1

↔ 表が収まらない場合は、横にスクロールして比較できます。

水質・貯留・圧力・器具への給水を仕事で比較する
場所・設備 主な仕事 次に渡すもの
水源・取水施設 河川や湖などの水を取り入れる 浄水処理前の水(原水)
浄水場 原水の状態に応じて処理する 処理・消毒した水
配水池・ポンプ場 水量を調整し、配るための圧力を用意する 地域へ送る水
配水管・給水管 地域を通る道と、建物への入口になる 器具へ届く水
蛇口などの器具 使用場所で流れを調整する 手洗い・洗浄などに使う水

浄水場では、小さな濁りを集めて分ける

川などから取り入れた原水には、細かな浮遊物が含まれます。急速ろ過方式の浄水処理では、まず凝集剤を使って濁りの成分をまとまりやすくし、大きなかたまりを作ります。このかたまりをフロックと呼びます。出典2

細かく分散したままの粒子を、いきなり全部沈めようとするのではありません。混ぜて接触させ、かたまりへ育て、沈みやすくして分けます。「集める」と「沈める」がつながった工程です。薬品を入れることと、汚れを取り除くことを別々の話にしないのが着目点です。

その後、沈んだものを残し、上澄みの水を次の処理へ送ります。横浜市の西谷・小雀浄水場では、凝集沈でんと砂ろ過を組み合わせる工程が紹介されています。図1の浄水場の三つの槽は処理の存在を示す記号で、槽の実際の数や薬品投入位置を再現したものではありません。出典3

砂ろ過と消毒は、違う仕事をする

沈でんだけで残った細かいフロックを除くのが砂ろ過です。砂と、その下にある支持層などを通り、水が集められます。ただし、砂ろ過を「砂のすき間より大きい粒だけを、ふるいのように止める」と説明すると不十分です。横浜市の解説では、砂粒子への吸着も、小さいフロックを取り除く働きとして示されています。出典4

水から粒子を分けることと、消毒は同じ工程ではありません。塩素による消毒では、微生物への働きを利用します。水の中に残る塩素には、運ばれる間も消毒効果を持続させる役割があります。「透明になったから処理は終わり」ではなく、見た目だけでは分からない水質も扱います。出典5

浄水方式は一つではありません。同じ横浜市でも、川井浄水場はセラミック膜を使う方式です。この施設では水の位置エネルギーをろ過にも利用しています。砂ろ過の説明をすべての浄水場へ当てはめたり、「膜ろ過なら必ずポンプで押し込む」と一般化したりしないことが大切です。出典6

配水池は、使う量の変化を受け止める

処理した水を届ける段階では、使われる量がいつも同じとは限りません。配水池には水を蓄え、使用量に応じて配る量を調整する役割があります。浄水処理の設備と、処理後の水を配るための貯留設備を区別しましょう。出典3

また、町全体へ同じ圧力で送れば済むわけでもありません。低い土地と高い土地では条件が違います。横浜市は地域を配水ブロックに分け、自然流下系とポンプ系を使い分けています。ブロック同士をつなぐ管には、事故などの際に別の区域から水を送るための役割もあります。出典7

図1の枝分かれは「多くの場所へ配る道」を示すものです。実際の配水管網の形や、切替用の弁・ポンプをすべて描いているわけではありません。一本の管を、水がいつも同じ順番で家から家へ通り抜ける構造として見ないでください。

水を届ける圧力は、高低差やポンプが支える

図2の左は、高い位置の水から低い場所へ届ける自然流下の見方です。水の位置の高さを利用します。右はポンプを使い、水に仕事を加えて高い場所へ送る見方です。町の地形や施設の配置に合わせ、こうした働きが配水を支えます。出典7

ここで「管が途中で下がっていたら、そこから上へは流れない」と考えないでください。密閉された管での給水は、川のような開いた水面の流れとは違います。供給側の圧力や高低差が、使用場所まで水を運ぶ条件になります。図の曲がった管は経路の記号で、流れるかどうかを管の見た目の勾配だけで決める図ではありません。

**水圧と、蛇口から出る水量も別の量です。**圧力があっても弁が閉じていれば、そこから外へは流れません。流れを開いたときの量は、弁・管路・供給条件が関わります。蛇口の記事で扱う「通す・止める」は、この圧力を受け取った後の仕事です。

高い位置の水を利用する自然流下と、ポンプの仕事を加えて高い使用場所へ送る役割の比較図 拡大して見る ↗
図 02PCの左/スマホの上は自然流下、右/下はポンプによる配水の見方。PCの地形と点線、スマホの槽と経路は比較用記号です。Pはポンプ。圧力・距離・標高・損失の計算図や施工図ではありません。
  1. 高い水の位置を利用して低い使用場所へ届ける
  2. ポンプの仕事を加えて高い使用場所へ送る

建物に入ってからも、三つの道を見分ける

図3は建物の給水方式を比べる図です。直結直圧は配水管の圧力を使い、直結増圧は途中のポンプで圧力を補います。どちらも建物の受水槽を経由しない直結方式です。直圧方式でも、町の配水までポンプを全く使っていないとは限りません。出典8

受水槽方式は、建物側の水槽へいったん水を受けてから各使用場所へ送ります。図3の右は受水槽からポンプで直接送る例です。別の構成として、高置水槽へ揚げた水を自然流下で配る方式もあります。受水槽と高置水槽は、置かれる場所と流れの途中での役割が違います。

↔ 表が収まらない場合は、横にスクロールして比較できます。

水質・貯留・圧力・器具への給水を仕事で比較する
方式 建物内で追加されるもの 水が通る道の違い
直結直圧 配水管の圧力を利用 建物の受水槽を経由せず使用場所へ
直結増圧 直結管路の増圧ポンプ 圧力を補って使用場所へ
受水槽 受水槽と、その先の給水設備 一度貯めてからポンプや高置水槽を経由

方式を選べる条件は、地域の基準・建物・供給圧力・使う量に関係します。図の階数は方式の許可範囲を示しません。受水槽のストック機能も、「断水・停電でも必ずいつも通り水が出る」という保証ではありません。ポンプの作動や残る水量などが関係し、水槽の清掃・点検も必要です。実際の方式確認や変更は、水道事業者と建物の管理者へ確認します。

直結直圧は配水管から器具へ、直結増圧は途中のポンプを通し、受水槽方式の一例はいったん貯めてからポンプで給水する経路の比較 拡大して見る ↗
図 031は直結直圧、2は直結増圧、3は受水槽からポンプで直接給水する例。Pはポンプ。受水槽式には高置水槽を使う構成もあります。PCの建物とスマホの器具は使用場所の記号。階数・容量・管径・逆流防止器などの施工条件は描きません。
  1. 直結直圧:配水管の圧力を建物の給水に使う
  2. 直結増圧:管路のポンプで圧力を補う
  3. 受水槽:いったん受けて貯めた水を、ここではポンプで送る

蛇口まで届いた後にも、役割は分かれる

水質の確認は、浄水場だけの仕事で終わるものではありません。東京都水道局は、供給先の蛇口でも水質を確認する取り組みを紹介しています。自分の地域の状態を調べる際は、水道事業者が公表する水質検査や給水区域の情報を見ます。この記事の模式図だけで、個別の建物の水質や不具合を判定することはできません。出典9

手元へ届いた水は、器具ごとに違う働きをします。洗濯機では衣類・洗剤液とともに動き、水洗トイレでは洗浄・排出と封水を残す工程へ進みます。水道が供給を支え、器具が使い方と行き先を決める、と分けるとつながります。

一滴の行き先を、水源から順に追ってみてください。原水を処理する場所、量を調整する場所、圧力を用意する場所、流れを開く場所。それぞれの仕事がつながって、蛇口を開いたときの水になります。

使った後の水は、下水道の集める道と処理の道へ。水道の浄水と下水の処理は、入口の水と目指す用途が異なります。汚水と雨水の集め方、微生物の働き、処理水と汚泥の分岐を続けて追えます。

説明をもう一歩深く

よくある疑問

蛇口を開くと水が出るのはなぜ?

供給側の圧力を背景に、蛇口の弁が水路を開きます。蛇口自体が町から水をくみ上げるわけではありません。

水源は必ずダム?

地域によって異なります。河川や湖などの水源と取水の系統を、水道事業者の情報で確認できます。

砂ろ過は砂のすき間でこすだけ?

急速ろ過では、それだけでなく砂粒子への吸着も小さいフロックを除く働きになります。凝集の前処理とつなげて読みます。

ろ過と消毒は同じ?

違います。粒子を分ける仕事と、微生物へ働く消毒を区別します。透明さだけで水質を判定できません。

配水池と建物の受水槽は同じ?

どちらも貯留しますが役割の場所が異なります。配水池は地域へ配る設備、受水槽は建物で水を受けてから給水する設備です。

直結直圧ならポンプを全く使わない?

建物内の増圧ポンプを使わない方式です。そこへ届くまでの町の配水設備にはポンプが使われることもあります。

受水槽があれば断水・停電でもいつも通り?

保証されません。貯めた量やポンプなどの条件が関わります。水槽の管理や設備の案内を確認します。

この図で建物の給水方式を選べる?

選べません。地域の条件・建物・供給圧力・使用量が関わるため、水道事業者と建物の管理者へ確認します。

参考資料・出典

原理の説明と図解の確認に使った資料です。特定製品の機能は一般原理と区別して扱っています。

  1. 横浜市:水源 ↗

    河川・湖などの水源と取水の地域例。系統数・量を全国へ一般化しない。 確認:2026-10-04

  2. 横浜市:凝集沈でん ↗

    濁りを凝集剤でまとまりやすくし、フロックへ育てて沈める。 確認:2026-10-04

  3. 横浜市:浄水場の処理工程 ↗

    急速ろ過の処理と配水池・ポンプ場の役割。薬品投入位置や槽の数は模式図と区別。 確認:2026-10-04

  4. 横浜市:砂ろ過 ↗

    砂・支持層・集水、砂への吸着。ふるいの説明だけでは不十分なこと。 確認:2026-10-04

  5. 横浜市:塩素処理 ↗

    粒子分離とは異なる消毒、残留塩素の消毒持続。濃度や個別水質判断は掲載しない。 確認:2026-10-04

  6. 横浜市:川井浄水場の膜処理 ↗

    膜方式の施設例、水の位置エネルギーを利用したろ過。すべての施設へ一般化しない。 確認:2026-10-04

  7. 横浜市:配水 ↗

    配水ブロック、自然流下とポンプ、ブロック間の融通。 確認:2026-10-05

  8. 横浜市:給水 ↗

    直圧・増圧・受水槽・高置水槽、設備条件と水槽管理。地域の階数・圧力閾値を全国の基準にしない。 確認:2026-10-05

  9. 東京都水道局:水質管理 ↗

    供給先の蛇口でも水質を確認する取り組み。検査箇所や項目の数は全国へ一般化しない。 確認:2026-10-04

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