この記事の読み方7のポイント
上下で合流式と分流式を比べ、上は家庭の汚水と雨水が同じ管、下は別の管を通る図。上の点線は雨天時の条件付き越流経路 拡大して見る ↗
図 011は合流式、2は分流式。3の茶色点線は雨天時に能力を超えた水が出る場合の経路。普段の流れや全施設の雨天対策を再現しません。青は雨水・処理後の水、茶は汚水の道を区別する記号で、水質の数値を表しません。
  1. 合流式:汚水と雨水を一つの管へ
  2. 分流式:汚水と雨水を別々の管へ
  3. 雨天時の越流:流量と能力に応じる条件付きの経路
働く順番をたどる

集めた水から、処理後の二つの道へ。

集水・輸送・分離・生物処理・分岐

代表的な活性汚泥による工程を追います。雨水の経路・雨天対策・高度処理は地域と施設で異なり、すべての水を同じ工程へ当てはめません。

01集水合流・分流
02輸送勾配とポンプ
03分離沈む物を分ける
04反応活性汚泥が働く
05分岐水・返送・余剰
  1. 01

    集め方を見分ける

    汚水・雨水が合流するか、別の管を通るかを確認します。

  2. 02

    処理場へ運ぶ

    管の勾配による流下と途中のポンプが、町の水を集めます。

  3. 03

    沈むものを分ける

    スクリーンや沈砂・最初沈殿で、取り出せるものを水から分けます。

  4. 04

    微生物を働かせる

    活性汚泥と混ぜ、代表工程では空気を送り有機物の処理を支えます。

  5. 05

    水と汚泥の道を分ける

    最終沈殿で分け、返送・汚泥処理・消毒などそれぞれへ渡します。

役割模型。スクリーン・沈砂・沈殿を砂ろ過と扱わず、泡で汚れが消える図とも扱いません。流量・返送割合・施工条件は示しません。

使った水の行き先は、流した先にも続く

トイレを流す、皿を洗う、洗濯を終える。手元から水が消えた後にも、町の管と処理施設で仕事が続きます。下水道は、使った水を集め、汚れを水から分け、処理した水を川や海へ戻す仕組みです。雨水の排除も役割に含まれますが、汚水と雨水が同じ道を通るとは限りません。

下水管につながった地域では、家庭などから出た汚水が処理場へ集められます。地域によっては浄化槽など別の仕組みを使うため、「すべての家が同じ処理場へつながる」とは考えないでください。図1は、下水道の代表的な二つの集め方を比べた役割図です。出典1

水洗トイレで扱う洗浄・排出と封水は、便器の仕事です。その先で町の汚水を集める仕事と分けて見ましょう。便器に残る封水は下水側の空気を遮るもので、汚水を浄化する処理槽ではありません。

雨水と汚水は、合流式か分流式かで道が変わる

合流式は汚水と雨水を一緒の管で集めます。分流式は二つを別々の管で運び、汚水を処理場へ、雨水を河川などへ送ります。分流式の雨水が通常、汚水と同じ生物処理を受けるわけではありません。出典1

↔ 表が収まらない場合は、横にスクロールして比較できます。

集め方と処理の役割を、経路と行き先で比較する
集め方 汚水の道 雨水の道 雨天時に見ること
合流式 雨水と同じ管へ 汚水と合流する 増えた流量への貯留・処理・越流対策
分流式 汚水管から処理場へ 雨水管から河川などへ 雨水管やポンプなどの排除能力

合流式では雨が増えると、処理できる量を超えた水が川などへ出る場合があります。図1の点線3は、その条件付きの経路です。普段の汚水が常にこの点線を通る図ではありません。対策や処理の内容は地域・施設で違います。

東京都の案内では、汚れを含む降り始めの雨水を貯め、雨が収まった後に処理へ戻す取り組みが紹介されています。また、生物処理の能力を超える雨天時の水には、沈殿・消毒による簡易処理を行う例もあります。「雨なら全部未処理」「雨でも全部が通常の処理工程を通る」のどちらにも一括りにできません。雨水も、道路などの汚れを運び得ます。出典4

下水管の勾配と、途中のポンプを見分ける

下水管では、高い場所から低い場所へ流れるように勾配を付け、自然流下を利用します。しかし平らな土地で長く管を延ばすと、下流の管が深くなり過ぎることがあります。途中でポンプを使って水を持ち上げ、再び流下させる構成があります。出典2

低い土地の水を送る場所や、川を越える経路などでもポンプが役立ちます。集める管の勾配だけで、すべての区間を説明することはできません。ポンプ場は「どのトイレからも直接吸い出す装置」ではなく、町の流れの途中で水を送る役割として追います。

水道は、供給する水に圧力を用意して使用場所へ届ける仕組みです。下水道は使った水を集める側です。どちらも高低差やポンプを利用しますが、配る仕事と集める仕事、管内の流れの条件を同一視しないことが比較の鍵です。図1は管の接続を比べる図で、勾配・深さ・ポンプ配置の施工図ではありません。

まず、大きなごみと沈むものを分ける

処理場に着いた水は、一つのフィルターを通すだけで処理を終えるわけではありません。図2は、代表的な活性汚泥による処理の工程を並べた図です。入口のスクリーンは大きなごみを捕らえ、沈砂池では砂などを沈めて分けます。次の最初沈殿池では、さらに沈みやすい物を分離します。出典3

沈んだものは、水とは別の道へ取り出します。図2の茶色の枝は、その汚泥を処理する側へ送る道です。砂を沈める沈砂池は、浄水場で扱う砂ろ過と同じ意味ではありません。水を砂の層へ通す図として読み替えないでください。

↔ 表が収まらない場合は、横にスクロールして比較できます。

集め方と処理の役割を、経路と行き先で比較する
工程 主な仕事 次の工程が必要な理由
スクリーン・沈砂池 大きなごみや砂を分ける 溶けた汚れなどは残る
最初沈殿池 沈みやすい物を汚泥として分ける 沈殿だけでは扱えない汚れがある
反応タンク 微生物の働きを利用する 微生物を含むかたまりも水から分ける必要がある
最終沈殿池 活性汚泥と上澄みを分ける 上澄みも消毒など次の仕事へ進む
接触タンクなど 処理水を消毒する 放流先や用途に応じた水質管理が続く
スクリーンと沈砂、最初沈殿、反応タンク、最終沈殿、消毒などの五つの仕事を順に追う役割図 拡大して見る ↗
図 02代表的な活性汚泥による工程。番号1〜5は水の道、PCの6と下の枝は汚泥の処理。スマホは水の工程を縦に追い、返送・余剰の分岐は図3で示します。槽の寸法・数・滞留時間・薬品注入位置は再現しません。
  1. スクリーン・沈砂池:大きなごみや砂を分ける
  2. 最初沈殿池:沈みやすい物を分ける
  3. 反応タンク:空気と活性汚泥の働き
  4. 最終沈殿池:活性汚泥と上澄みを分ける
  5. 接触タンク:消毒して放流する例
  6. 汚泥処理:水から分けたものを処理する

空気を送るのは、微生物の働きを支えるため

沈殿で分け切れない汚れに対し、反応タンクでは微生物の働きを利用します。微生物を含むかたまりが泥のように見えるため、これを活性汚泥と呼びます。標準的な工程では汚水と活性汚泥を混ぜ、空気を送り、微生物が有機物の汚れを分解する働きを支えます。出典5

「微生物が汚れを食べる」と考えると入口はつかめます。ただし、汚れがすべて跡形なく消える意味ではありません。有機物の分解と微生物の増殖、細かな物がかたまりに付く働きが関わり、そのかたまりを次の工程で水から分けます。出典4

図3の左の槽では、茶色の丸が微生物を含むかたまり、白い丸が空気の泡です。形や大きさは記号で、顕微鏡写真ではありません。空気だけで汚れを吹き飛ばす図でもありません。高度処理では酸素条件の異なる区画などを組み合わせるため、「どの処理でも、全区画に空気を入れ続ければよい」と一般化しません。

最後に沈めた泥は、戻す道と取り出す道へ

反応タンクから出る水には活性汚泥が混じっています。最終沈殿池でそれを沈め、上澄みと分けます。図3の右の槽と下の分岐に注目してください。沈んだ汚泥の一部を反応タンクへ戻すのが返送汚泥、増えた分などを処理側へ取り出すのが余剰汚泥です。働く微生物を戻す道と、系外へ取り出す道を分けます。出典5

上澄みは消毒などへ進みます。横浜市の標準的な工程の案内では、接触タンクで次亜塩素酸ナトリウムによる消毒を行ってから放流します。図3の右向き矢印は、この下流の工程へ渡す入口です。最終沈殿池の直後に飲み水が出来上がる意味ではありません。出典3

取り出した汚泥も処理が必要です。横浜市の北部汚泥資源化センターでは、濃縮・消化・脱水などを組み合わせ、消化で生じるガスも利用します。水分を減らす仕事と有機物を安定させる仕事が続く、という地域の例です。設備構成・資源化の方法を、全国共通の一本道とはしません。出典7

反応タンクから最終沈殿池へ進み、上澄みは消毒などへ、汚泥は反応タンクへの返送と汚泥処理へ分岐する役割図 拡大して見る ↗
図 03反応タンクで混合し、最終沈殿池で分けます。上澄みは消毒などへ、汚泥は返送と余剰分の処理へ。PCの茶色の丸は微生物を含むかたまり、白い丸は空気の泡。スマホは同じ役割を箱と経路で追います。返送割合・流量・槽形状・粒径・実配管は示しません。
  1. 汚水と活性汚泥を混ぜる
  2. 空気を送り微生物の働きを支える
  3. 最終沈殿で活性汚泥を分ける
  4. 返送汚泥:一部を反応タンクへ戻す
  5. 余剰汚泥:処理側へ取り出す

透明さだけで処理の完了を決めない

見た目が澄んでも、水質の確認は必要です。例えばBODは、有機物が微生物に分解される際に消費される酸素の量をもとに、汚れの程度を見る指標です。窒素やリンが多く残ることも、水域への影響につながります。東京都では、その除去を進める高度処理を紹介しています。出典6 出典4

処理水は川や海へ戻すほか、用途に合わせて再利用することもあります。東京都の再生水は、トイレの洗浄など飲用水質を必要としない用途向けに、ろ過・オゾン処理などを加える例です。下水処理水をそのまま家庭の蛇口へ直結し、飲む仕組みだと捉えないでください。出典8

洗濯機が扱う衣類と洗剤液の動きも、排水後には水の処理へつながります。手元の器具で汚れを移す仕事と、町で水から分ける仕事を続けて追うと、排水を「消えた水」で終わらせずに理解できます。

自分の地域を調べるなら、下水道事業者の合流・分流の区域、処理場の工程、水質の公表資料を見ます。まず集める道、次に水と汚泥を分ける道、その先の用途。三つを追うと、設備の名前を暗記するより下水道の仕事がつながります。

説明をもう一歩深く

よくある疑問

下水道と水道は何が違う?

水道は処理した水を使用場所へ届ける側、下水道は使った水を集めて処理する側です。雨水の排除も下水道の役割です。

雨水も必ず汚水と同じ処理を受ける?

受けません。分流式では別の管で河川などへ送ります。合流式でも雨天時の流量と施設の能力に応じて経路・処理が変わります。

合流式なら雨の日は全部未処理?

一括りにはできません。貯留して後で処理する対策や、能力を超えた分へ沈殿・消毒による簡易処理を行う地域例があります。

下水は全部ポンプで吸い出す?

管の勾配による自然流下と、途中で持ち上げるポンプなどを組み合わせます。便器の洗浄方式とは別の仕事です。

活性汚泥は単なる汚い泥?

微生物を含むかたまりです。反応タンクで汚れを扱う働きに利用し、次の沈殿池で水から分けます。

なぜ沈んだ汚泥を戻す?

微生物を含む活性汚泥の一部を反応タンクへ返送して、処理に利用するためです。余剰分は別の処理へ取り出します。

透明になれば全部の汚れがなくなった?

見た目だけでは判断できません。BODや窒素・リンなど、施設と放流先に応じた水質の確認が必要です。

下水処理水はそのまま飲み水になる?

その意味ではありません。通常は消毒などを経て放流し、再利用でも用途に合わせた追加処理を行う例があります。

参考資料・出典

原理の説明と図解の確認に使った資料です。特定製品の機能は一般原理と区別して扱っています。

  1. 国土交通省:下水道の施設と合流式・分流式 ↗

    汚水・雨水の合流/分流、雨天時の能力超過による越流。対策は個別施設による。 確認:2026-10-04

  2. 長岡市:下水道のしくみ ↗

    自然流下の勾配と長距離・平坦地での深さ、途中のポンプ、雨水と汚水の経路。 確認:2026-10-04

  3. 横浜市:下水処理のしくみ ↗

    スクリーン・沈砂・最初沈殿・反応・最終沈殿・接触タンク。汚泥の返送・処理と消毒。代表工程として扱う。 確認:2026-10-05

  4. 東京都下水道局:下水道の解説 ↗

    微生物による分解とフロックへの付着、高度処理、降り始めの貯留と能力超過時の簡易処理の地域例。 確認:2026-10-04

  5. 横浜市:都筑水再生センターのしくみ ↗

    活性汚泥と曝気、最終沈殿・返送・余剰汚泥、日々の水質管理。 確認:2026-10-05

  6. 横浜市:下水処理の用語 ↗

    BODの意味とリンなどの水域への影響。古い法的閾値や検査項目を現行基準として引用しない。 確認:2026-10-04

  7. 横浜市:北部汚泥資源化センター ↗

    濃縮・消化・脱水・ガス利用などの施設例。温度・滞留時間・設備を全国共通にしない。 確認:2026-10-04

  8. 東京都下水道局:再生水 ↗

    非飲用用途と追加のろ過・オゾン処理の東京都例。処理水の直接飲用とは区別。 確認:2026-10-04

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